年金制度
(SSS : Social Security System)

フィリピンでは、年金や医療保険といった社会保険制度が政府関係機関によって運営されているほか、障害者、高齢者、児童等を対象とした社会福祉サービスが提供されています。
主な公的年金制度には、民間企業等で勤務する者を対象とした年金制度と公務員を対象とした年金制度が存在します。前者は社会保障機構(SSS : Social Security System)、後者は公務員保険機構(GSIS : Government Service Insurance System)により運営されています。

対象者

60歳以下の全ての民間労働者及びその使用者で月額1,000ペソ(約2,000円)以上の収入を得ている家庭内使用人(メイド、運転手等)や月額1,000ペソ(約 2,000円)以上の収入を得ている自営業者等は、社会保険機構への加入が義務付けられています。

給付内容

給付には疾病や傷害を負った際に支払われる補償金以外に年金給付があり、年金給付には、退職年金、死亡年金、障害年金などがあります。

日比社会保障協定

日本国内の企業で働く場合は当然日本の社会保険に加入する必要がありますが、一方で日本人が海外で働く場合は、働いている国の社会保障制度に加入する必要があり、日本の社会保障制度との保険料と二重に負担しなければならない場合が発生します。また日本や海外の年金を受けとるためには、一定の期間その国の年金に加入しなければならない場合があるため、相手国で負担した年金保険料が自国の年金受給の算定期間に組み入れられないことがあります。 すなわち労働者が会社の命令で海外転勤を命じられたとき、派遣先の国と日本で社会保険を2重に支払う必要があったり、相手国で支払った社会保険料が自国の年金の納付期間に算定されないという問題が生じます。この問題を解決するために、社会保険料の2重払いの回避と年金等の算定期間について相手国との間で一定のルール作りをしようというのが社会保障協定の趣旨であり、日本とフィリピンの社会保障協定は2018年8月1日に発効されています。

原則として、協定により原則として就労する国の社会保障制度のみに加入することになります。つまり、日本の事業主により協定相手国の支店などに派遣された場合や現地の企業で採用された場合には、協定相手国の社会保障制度のみに加入することになります。

特例措置(社会保障協定締結国への派遣)として、事業主により協定相手国へ5年を超えない見込みで派遣される場合には、協定の例外規定が適用されます。すなわち、引き続き日本の社会保障制度のみに加入し、協定相手国の社会保障制度の加入が免除されます。
(※協定によっては派遣期間の見込みにかかわらず、派遣開始日から5年間は日本の社会保障制度のみに加入し協定相手国の社会保障制度の加入が免除されます。)

日比社会保障協定(日本年金機構)
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日本の事業主による派遣

  1. 5年以内と見込まれる一時派遣の場合:日本の社会保障制度に加入
  2. 予見できない事情により5年を超える場合:
    a)原則:相手国の社会保障制度に加入、
    b)例外:協定相手国との間で合意が得られた場合:日本の社会保障制度に加入
  3. 当初より5年を超えると見込まれる派遣:相手国の社会保障制度に加入


上記が派遣された日本人が日本人がどちらの社会保障制度に加入するかということに関する規定ですが、さらにフィリピンにおいては一時派遣期間に関する延長の特例措置もあります。

フィリピンの一時派遣期間の延長の特例

予見できない事情により5年を超えて派遣期間が延長される場合については、申請に基づき、両国で個別に判断の上合意した場合に3年までは派遣先の年金制度が引き続き免除されます。
また、派遣期間が8年を超える場合でも、申請に基づき、両国で個別に判断の上合意した場合に日本の年金制度に継続して加入することができます。

フィリピン年金制度の加入期間の
日本の年金制度の加入期間への通算

日本の年金保険期間のみでは日本の受給資格要件を満たさない場合に、重複しない限りにおいて、フィリピンの年金保険期間を日本の年金保険期間に算入することができます。
通算して年金の受給資格要件を満たせば、日本の年金保険期間に応じた年金が支給されます。

労災保険について

フィリピンの労働災害に起因する給付(労災保険制度)は、フィリピンの法令のもとで年金制度と一体的に運用されています。そのため、日本からフィリピンに一時派遣され、日本の制度のみが適用される場合は、日本及びフィリピンのいずれの国においても強制的な労災保険が適用されない状態となります。

フィリピンの社会保険はSSS、Philhealth,PagIbigの3種類がありますが、社会保障協定の対象となるのはSSSのみとなります。PhilhealthやPag-Ibigにはこの協定が適用されませんので注意が必要です。

医療保険制度
(PH : Philhealth)

医療保険制度は1995年2月、前述のSSS、GSIS両制度のうち医療保険部分(メディケイド)を統合し設立されたものである。公的医療保険制度を運営しているのは、フィリピン健康保険公社(Philippine Health Insurance Corporation(PHIC):フィルヘルス)である。PhilhealthもSSSやGSIS同様、政府管轄下の機関です。

加入者

全国民及びフィリピン国内で働くすべての外国人の加入が求められています。保険料徴収の主な対象者は、被用者(公私)、自営業者である。医療保険制度(PH : Philhealth)は日比社会保障協定の対象外です。
また、「貧困プログラム(Sponsored Program)」があり、保険適用者は、加入者、貧困プログラム対象者、無償対象者(退職者、保険料支払満了者)及びこれら対象者の扶養家族となっています。

給付内容は入院医療に係る費用(室料、食費、薬剤費、検査費、診療料など)及び外来医療(薬剤費、検査費、診療費、予防サービス、救急・移送サービスなど)に対しての適用給付があります。2006年からは、新生児ケアや、マラリア・AIDS患者に対する外来診療等も保険適用となっている。 給付は現物給付方式であり、医療費のうち、傷病の程度や医療施設のレベルに基づいて定められた一定額が、フィルヘルスより医師又は病院に償還払いされ、同額を超える部分については患者の自己負担となっています。 近年はPH内における基金の不正流用による財源不足で医療機関への給付金の未払が発生しており、医療機関によっては医療保険制度の取り扱いを停止している機関も存在しているため、医療保険に加入していながら医療費の全額負担を求められる事例も発生しています。

PAG-IBIG

Pag-IBIG は一般的に住宅ローン基金として知られていますが、その他の用途や災害時にPag-Ibigでローンを組むことができる相互扶助制度です。

定年時や満期時、日本人などの外国人の場合は
出国時に返戻金を受け取ることが出来ます。

  • 満期時
  • 定年退職した時(60歳〜65歳)
  • 基金から脱退した時
  • フィリピンから出国して戻る予定のない時
  • 治療見込みのない身体的・精神的障害を負った時
  • 死亡


※外国人の場合であってもフィリピンでの就労時は強制加入となりますが、フィリピンを離れる時には返戻金を受け取ることができます。

用途

  • 住宅購入融資
  • 多目的融資
  • 災害時融資
  • 満期返戻金の受取


弊社では社会保険の加入や更新、納付書の発行、疾病や傷害を負った時、入院や死亡時に基金の給付手続きを行っております。お気軽にご相談ください。