法人(支店・駐在員事務所)設立と登録更新
(Business Registration and Renewal)

事業形態の決定

フィリピンにおける事業目的と会社の運営方針を基にフィリピンの組織体系を決定する。
組織体系の検討が十分にされずに事業が開始されると中長期的に事業目的と事業形態の乖離が重大な問題を引き起こす可能性があるため開始前に十分斟酌することが求められる。特に現地企業との合弁やJVには慎重な対応が必要となる。

個人事業(The Sole Proprietorship)

いわゆる個人事業主である。この形態は、所有者が一人である事から法律上、個人と区別されていない。多くの小規模事業者(Small Business Owner)はこの形態を採用しているが、その理由は届出が簡単で簡略化された経営形態であることである。特徴として、初期投資が少ない、運営費用がかからない、税務上(Marginal Income Earnerへの免税等)の利点があげられる、全ての利益が所有者の取分となる。一方で無限責任であり、運転資金・資本の調達が困難であり継続性の問題がある。? いわゆる会社法人ではないので、Security Exchange Commission(SEC)に対する登記は求められていないものの、Department of Trade and Industry(DTI)やBIRへの届出が必要とされる 。外国人は個人事業主形態での事業展開は不可能と思われているが、外資参入可能な業種であることや出資制限等をクリアすることで事業を行うことができる。

法人
内国法人と外国法人 (内国歳入法 22条)

フィリピン内国法人

フィリピン内国法人は会社法に基づき最も一般的な事業形態の一つとされる。あらゆる種類の事業に対応できる万能型の組織形態である。外国税額控除等の優遇税制の適用が受けられ、最も制約の少ない形態ではあるが、外国人が保有する場合には会社法以外に外資規制への配慮が必要となる。

外国法人

外国法人とはフィリピン以外の国の法律により設立された法人のことである。またその国においてフィリピン資本或いはフィリピン人が活動を行うことができることができる場合、同様にその国の外国企業もフィリピンにおいて事業ライセンスを取得することを条件として事業活動を行うことができる。

  • 居住外国法人:フィリピンにおいて事業活動を行う外国法人
  • 非居住外国法人:フィリピンにおいて事業活動を行わない外国法人

パートナーシップ (Partnership)

パートナーシップとは二人以上の複数の者が共同所有者として営利目的事業を営む社団(Association:人の集合体)のことである。パートナーシップ契約が成立した時点でそれは一つの法的人格を有することとなり、パートナーシップの名前で法的行為を行うことができる。パートナーシップは制度としてSECへの登録が必要だが、たとえSECへの登録が完了或いは申請が承認されなかったとしてもパートナーシップは法人格を有することができる。また法人の存続期間は50年以内という会社法上の規定があるのに対して、パートナーシップには存続期間を設けていない。存続期間はいわばパートナーの合意がある限り存続可能であるといえる。解散事由として支払不能(破産)、パートナーの法的能力の欠如や死亡、解散合意などが挙げられる。またこのパートナーシップ持ち分は他者に譲渡することは可能だが、譲り受けた人は自動的にパートナーとなるわけではなく、パートナー全員の同意が必要となる。また株式会社との一番の違いは、パートナーは無限責任を負うことが一番の特徴と言える。

ワンポイントアドバイス
法律上の会社(De Jure Corporation)
国内法の規定に従い適法に設立された会社

事実上の会社(De Facto Corporation)(会社法19条)
設立過程に何らかの瑕疵があるため法律上の会社とはならないが、設立に関する法律の規定を順守するための誠実な努力がなされ、会社として事業活動を行っているので、事実上、会社としての存在が認められる会社。会社の存在を認めることにより、株主は、会社債務に対する個人的責任(Personal Liability)を回避することができる。

 

1. 法人の種類(内国歳入法 22法, 会社法3条)

 

  • Stock Corporation:株式会社
  • Non-Stock Corporation:非株式会社(教育機関、宗教法人、社会福祉法人、市民団体、政治組織等)
  • Partnership:パートナーシップ
  • Joint Stock company:合本会社
  • Joint Account:ジョイントアカウント
  • Association:組合法人

 

2. 組織形態

フィリピン現地法人 (Corporation)

外国法人はフィリピンに現地子会社の設立が認められている。現地子会社はフィリピン会社法に基づいて設立された内国法人であり、フィリピン国内において外資規制に抵触しない限りあらゆる業種の事業を営むことができる。一般的にフィリピン現地子会社は親会社との資本関係が強く、外国親会社或いは外国関連会社の支配のもと活動を行う事業形態である。

現地支店 (Branch Office)

フィリピンの現地支店はSecurity Exchange Commission (SEC) より認められた組織形態の一つである。外国法人により出資された事業組織であり、内国法人同様にあらゆる事業活動がフィリピンで認められる。外国法人による100%出資された法人とみなされるため、外国投資規制に配慮が必要な組織形態であり、外国税額控除等の税制優遇を受けられない組織形態でもあり、申請時に親会社の財務内容等が精査されるため設立手続きに相当な時間がかかる。

駐在員事務所 (Representative Office)

駐在員事務所もまたSecurity Exchange Commission(SEC)により認められた組織形態の一つであり、フィリピンにおける外国法人として認識されるが、駐在員事務所は主に外国法人の現地拠点としてフィリピンの顧客への商品やサービス内容の周知や販売促進、情報収集、海外の上位組織や本社のアドミン業務を行うことを目的として設立される。フィリピンにおいて法人税やVAT等の対象となる収益活動を行うことはできないものの、Cost Centerとしての機能は有し、その過程で源泉徴収義務者としての納税義務が発生することがある。

地域運営本部:
Regional Operating Headquarter(ROHQ)

地域運営本部はアジア太平洋地域及びその他の地域の子会社、支店、関連会社等のモニタリング機能としてだけでなく、各地域のアドミニストレーションや人材統括という意味においての位置づけとなることが多い。内国法人とは異なり子会社及び関連企業に対する定められた範囲の業務に限りサービスを提供して収益を上げることが認められ、ROHQの課税所得に対しては10%の軽減税率が適用される。

地域本部:
Regional or Area Headquarter

地域本部は多国籍企業においてアジア太平洋地域及びその他の地域で活動する子会社、支店、関連会社等のアドミニストレーションや人材統括等の管理機関としての機能を持つものの、本部自体はフィリピン国内において収益活動を行わない事業体のことである。

財団法人・非株式非営利法人 (会社法 87条、88条)

財団法人・非株式非営利法人はフィリピンにおいて非営利の活動(チャリティー、慈善事業、宗教活動、科学、文化的活動)を行うことを目的として設立された事業体である。非営利活動を目的とする財団法人や非株式非営利法人であってもSEC(Security Exchange Commission)や活動に関連する政府機関の承認が求められる。活動内容やそれぞれの設立要件を満たすことなどを条件として、法人税やその他の税金が免税される。

株式の種類 (会社法6条,7条,8条,9条)

1. 普通株式 (Common Share/Stock)

株主に対して特権や制約(限定)のない標準となる株式のことをいう。フィリピンにおいても株式といえば一般的には普通株式のことをいう。日本の株式同様に株主総会において議決権を行使したり、余剰利益の配当や残余財産の分配を受け取ったりする権利がある。

2. 優先株式 (Preferred Share/Stock)

普通株式に対して配当や残余財産を優先して受ける権利を有する株式のこと。また定款に優先株式に関する規定を定めることによりその他の特権を付与することも可能。額面価格のない優先株式は認められない。

3. 償還株式 (Redeemable Share/Stock)

事前に償還期限を定めることとし、償還期限後に分配可能な剰余金の有無にかかわらず、会社は償還株式を株主より買い取ることができる。償還株式の発行の際には定款に当該株式についての規定を定めておく必要があること及び株券にも規定を明記しておく必要がある。

4. 創業者株式 (Founders’ Share/Stock)

取締役の選任時に独占的にその選任権が付与される。創業者株式が発行された場合、普通株式を含むその他の株式を保有する株主には有効期間が経過するまでは、役員の選任に関する権利は付与されない。役員選任に関する有効期間は5年を超えない期間とし、SEC(Security Exchange Commission)から承認された日から有効となる。

5. 自己株式 (Treasury share/Stock)

自己株式とは先に発行済みであるものの、その後に何らかの方法により会社が保有することとなった株式(例:買戻し、償還、寄付行為等)のことであり、自己株式となった株式は取締役会の承認を経て消却や再び売りに出すことができる。

ワンポイントアドバイス
名義株主 (Nominee Shareholders)と名義役員 (Nominee Directors)
フィリピン内国法人は2021年1月より他の人(法人)の受託者として行動するすべての株主・役員・理事の氏名と委託者名を届け出るように求めています(SEC MC No. 01-2021)。フィリピンでは内国法人の取締役となるためにはその法人の株式を保有する必要があります。そのため外資系企業は現地法人にて役員を任命するためには、その役員に株式を割り当てることが必要になります。しかしその株式はフィリピンの会社法に基づいて保有が義務付けられたもので、その実質的な株式の保有者は親会社のものであると考えられます。そのような場合の現地法人の株主や役員は親会社の代理人としての性質をもつため、そういった方を名義株主 (Nominee Shareholders) 、とりわけ役員として登記されている方のことを名義役員 (Nominee Director) と呼びます。この規定は日系のみならずフィリピンのすべての外資系企業に当てはまると考えれられるため、法人設立時や役員の交代の事実があった日から30日以内にSECに報告することが求められています。

存続期間 (会社法11条)

改正前の会社法では会社の存続期間は最長50年間と会社法で定められており、定款変更にてさらに50年間の存続期間を延長することができるとされていたが、2019年2月の会社法の改正で存続期間に関する条文は撤廃された。会社法改正前に法人設立証明書を発行された会社についても、存続期間の定めのない会社として扱われる。

会計年度(Calendar Year and Fiscal Year)

12月末で終了する年度(1年間)を暦年(Calendar Year)というのに対して、12月以外の月末をもって終了する年度(1年間)を会計年度(Fiscal Year)といいます。フィリピン国内の多くの企業が税務処理と連動して暦年を採用していますが、上場企業を親会社に持つ日系法人はグループで会計期間を統一するために3月末を会計年度末とすることがあります。暦年を採用する場合も会計年度を採用する場合もSEC及びBIRへの届出が必要となる。

資本金 (会社法12条)

株式会社は他の法律による定めのある場合を除いて最小資本金についての制限はない。

ワンポイントアドバイス
資本金
・授権資本 (Authorized Capital)

株式会社の定款に明示され,将来発行する権限を授与されている株式総数。設立時に発行される株式総数は授権資本として定められた株式数を超えて発行することができない。設立時に発行されなかった株式は,必要に応じ取締役会の決議で随時発行できる。米英法における授権資本(Authorized Capital)の考え方を導入している。これ自体が資本の実体を示すものではない。

・引受資本 (Subscribed Capital)

引受資本とは未発行株式のうち当初定められた一定の範囲内において、投資家・取締役が将来特定の価格で未発行の株式を当初定められた引受資本の株式数を上限として購入することのできる契約を締結された資本金割当のことである。言い換えると株主と会社との間の法的合意であり、将来的にその株主が引受資本を上限として新規発行株式の購入を約束されることを意味する。引受資本の割当はストックオプションと同じ動機により付与されることがあり、会社及び株主双方に一致した利害関係を生み、株主・取締役が会社に長期的に関与し、業績を上げることの努力を促すことにつながる。すなわち長期的な会社の成長を期待する意味において投資家・取締役及び会社は同じ視線に立って運営を行うことができるというメリットを得られる。引受資本を割り当てられた者は将来的に株式の値上がりによる売却益或いは配当を期待すると同時に、会社にとっては増資時の安定した資金の確保を可能とする。

・払込資本 (Paid up Capital)

払込資本とは会社が株主から株式の発行と引き換えに受け取った現金或いは現物出資の時価のことを言う。払込資本は会社がプライマリーマーケット或いは相対取引で会社と株主が直接的に株式取引を行った場合に発生する。Paid up Capitalは別名、Paid in Capital或いはContributed Capitalともいわれる。払い込まれた資本金と引き換えに発行された株式には額面価格のある株式と額面価格のない株式が存在する。額面価格とは発行時に一株当たりの株式の金額が株券に記載のあるものを指し、それとは逆に額面価格のない株式とは一株当たりの金額の記載のないものを指す。額面金額以上に払い込まれた金額については、資本金としての性格を有するものの、Paid up Capitalとは区別してAdditional Paid In Capitalと表記される。

※セカンダリーマーケットで売買された株式は会社との取引で株式売買が成立するわけではないため、払込資本とは区別する必要がある。

ワンポイントアドバイス
法人格の停止及び法的権限によるみなし解散(会社法21条)
会社が設立されてから5年以内に事業が開始されない場合あるいは組織運営がなされない場合、その法人の法的資格は停止となり、法人は解散したものとみなされる。また事業開始後であっても、その後継続的に5年以上事業が行われない場合も会社の設立許可証の取り消し事由となる。

ワンポイントアドバイス
禁反言の原則(会社法 第20条)
会社としての外観を有する組織が、当該組織を正式な会社であると合理的に信頼した相手と締結した契約について、事後的に会社の不存在を主張したり、相手方からの履行請求の際に不存在を理由として債務の履行を免れることはできない。この法理は、会社としての表示(外観の存在)及び相手方の合理的な信頼が存在することをこの法理の適用要件とされており、当該組織の法人設立過程における重大な瑕疵があり「事実上の会社」として法解釈上認められない場合にも適用される。相手方も事後的にその事実を知ったことによる会社の不存在を理由に当該組織への債務の履行を免れることはない。

法人の権限と義務

  1. 会社の名前で提訴することができる。
  2. 法人の証明書及び定款に記載された期間中、会社名を継続的に使用することができる。
  3. 社印の使用をすることができる。
  4. 会社法及びその他の法律、道徳、公序良俗に反しない限りにおいて、付属定款の条文を定めること、変更すること、廃止することが認められる。
  5. 会社法に基づき、申込者に対して株式を発行すること、自己株式を分配することが認められる。
  6. 憲法及びその他の法律の定めに基づき、有価証券や社債、不動産や私有財産の購入、受領、付与、保有、売却、賃貸、抵当権の設定等、各法律に抵触しない範囲において事業上、合理的かつ必要な取引を行うことができる。
  7. 他の会社の買収や合併
  8. 社会福祉や病院、慈善団体、文化、科学及びそれらと同等の目的を持つ団体への寄付行為。
  9. 取締役や理事、役員、従業員等への年金や退職後の福利厚生プランの立案と実行
  10. 定款に定められた事業目的の達成のために不可欠或いは必要と認められる行為

基本定款
(Article of Incorporation)(会社法13条)

基本定款(Article of Incorporation)とは、会社が実在することを示す確定的証拠としてSECに提出される。SECに提出され登録された時点で法人として成立する。Article of Incorporationと似た概念にCertificate of Incorporationというのがある。Certificate of Incorporationとは提出されたArticle of Incorporationが会社法所定の要件を満たしていると判断された場合にSECが発行する会社設立証明書のことである。会社が法を順守して正式に成立されたことが記されていると同時に二次的ライセンスを要する業種についてはこの証明書のみでは当該事業を行えないことにも注意が必要である。会社は証書に記載された日時をもって存在が正式に認識されるが、事業開始には別途、事業許可証の取得を要する。

定款記載事項

  • 会社名
  • 事業の目的
  • 場所(本店所在地:フィリピン国内に限る)
  • 存続期間
  • 発起人の名前、国籍、住所地
  • 役員または理事の人数(15名以下)
  • 設立時役員または理事の名前、国籍、住所地

付属定款 (By-Law)

付属定款とは、会社の内部統治について具体的で詳細な規則を定めた文書である。会社の根本規則を定める基本定款を補足する役割を担う。取締役及び執行役の権限の具体的範囲、株主総会の場所や日時、会計期間や運営に必要な事項についても記載される。付属定款に定める規則は基本定款と矛盾するものであってはならない。

付属定款記載事項

  1. 定時及び臨時取締役会の日時、場所、招集方法
  2. 定時及び臨時株主総会の日時、場所、招集方法
  3. 株主総会における定足数と投票方法
  4. 株主代理人による投票方法
  5. 取締役、理事、役員及び従業員の資格、義務、報酬等
  6. 取締役及び理事の次年度選任の日時及び通知方法
  7. 取締役及び理事以外の役員の選任の方法
  8. 罰則規定
  9. 株式発行方法(株式会社の場合に限る)
  10. その他事業運営に必要な事項(委員会設置会社等)

ワンポイントアドバイス
定款及び付属定款が承認されないケース(会社法16条)
定款及び付属定款の申請或いは変更がSECにより承認されないケースがある。主な理由としては以下の4点が挙げられる。

  1. 定款及び付属定款が実質的に所定のフォームに準拠していない場合
  2. 定款及び付属定款の内容が明らかに違憲、違法、公序良俗や道徳的に問題があること、政府の規則等に違反している場合
  3. 引受資本或いは払込資本に関する財務役による宣誓供述書の内容に虚偽がある場合
  4. フィリピン人の株式等の持ち分比率が既存の法律や憲法に定められている比率に準拠していない場合

株主

会社法上の株主の人数に関する規定はないものの発起人や取締役に関して15名以下と定められている。
発起人は会社の設立時株主である必要があるが、株主は発起人である必要はない。株主の主な権利は議決権の行使や配当及び残余財産の分配を受けることである。株主により開催される株主総会は会社の最高意思決定機関として位置づけられ、経営に関するあらゆる決定権を有している。

株主総会

定時株主総会

会社は毎年4月15日以降或いは付属定款に記載された日時に定時株主総会を開催することが求められる。開催の21日前までに通知書面をメールやその他の方法での送付が必要となる。開催場所は本店所在地のある市などに限定されるが、基本的には本店の会議室等で行われることが一般的である。

臨時株主総会

臨時株主総会は、必要と認められるときには随時開催されることとなる。開催の1週間前にまでにすべての株主への通知書面をメールやその他の方法での送付が必要となる。開催場所は定時株主総会同様に本店所在地のある市などに限定されるが、基本的には本店の会議室等で行われることが一般的である。

普通決議と特別決議

決議内容によっては普通決議或いは特別決議に諮る議案として決議される。会社法の改正により電子的方法で遠隔地からの会議への参加や投票が可能となった。

普通決議

出席した株主が保有する過半数の株式数の賛成が必要

  • 決算の承認
  • 役員の選任等
特別決議

発行済み株式の3分の2以上の決議が必要

  • 取締役の解任
  • 利益相反取引の追認
  • 付属定款の変更及び廃止
以下、特別決議に加えて取締役会の承認が必要な重要決議事案
  • 定款変更
  • 増資・減資・社債の発行
  • 存続期間の変更
  • 会社の重要な資産の売却、リース、抵当権設定
  • 合併・買収

 

株主総会 定時 臨時
開催日時 付属定款に定めた日時又は4月15日以降 随時
通知 書面通知、21日以上前 書面通知、1週間以上前
場所 本店所在地のある行政区域 本店所在地のある行政区域
定足数 過半数 過半数

※通知書面をメールなどSECガイドラインに則った方法での通知が可能である事が会社法の改正で明記された。

取締役・取締役会

定数

15名以下

選任要件

  • 過半数がフィリピン居住者であること。
  • 選任日前の5年間に禁固6年以上の刑となる犯罪を犯していないこと
  • 会社法に違反したことがないこと
  • 外資規制業種の場合は、外資規制により資本金の額や資本比率により外国人の比率が変わる

選任方法

株主総会普通決議により選任される。解任は株主総会の特別決議により3分の2以上の賛成が必要となる。

執行役員

代表者 (President)

取締役会は代表者(President)を選任する必要がある。必ず1人のみが代表者となり、日本のような複数代表は認められない。代表者に選任されたものは財務役や秘書役を兼任できない。

財務役 (Treasurer)

取締役会は代表者の他、財務役及び秘書役を選任する必要がある。代表者とは異なり複数名を選任することが可能である。会計面の責任を負うのが主な業務であるが、資本金等の資金の流れについての宣誓供述を求められることがある。秘書役との兼務が可能となる。

秘書役 (Corporate Secretary)

取締役会は代表者の他、財務役および秘書役の選任を行うこととなる。代表者とは異なり複数名を選任することが可能である。選任要件としてフィリピン居住のフィリピン人であることが求められる。財務役同様に人数の制限はない。財務役との兼務が可能。

その他の執行役

会社は付属定款に定めることにより、その他の役職を置くことができる。会社法に反しない限り役職を定めることができる。(例:副社長、経営責任者など)

委員会 (Executive, Management and Other Special Committee)

会社は付属定款に定めることにより執行委員会、経営委員会、その他特別委員会を設置することができる。取締役会により選任され、3名以上の委員により構成される。会社法に違反しない範囲を定める或いは株主の承認が必要な事案以外において取締役会は権限の一部を経営委員会に移譲することができる。外資規制の対象業種であっても委員会の構成人員は国籍の規制を受けることがない。
委員会を設置している会社を委員会設置会社と呼ぶ。

ワンポイントアドバイス
忠実義務(Duty of Loyalty)
取締役は、自己の利益よりも会社の利益を優先させ会社のために忠実に職務を遂行する必要がある。これを忠実義務という。具体的に以下の行為が忠実義務違反となる。
・競業取引、利益相反取引、機会の奪取、インサイダー取引

ワンポイントアドバイス
経営判断の原則(Business Judgment Rule)
取締役が経営上の判断ミスによって会社に損害を与えたとしても、その判断が誠実にかつ相当の留意を払って行われたものである限り、注意義務違反ではないとする原則である。相当の注意を払って業務上の意思決定が行なわれたか否かを決定する場合、意思決定時の行為が問題となるのであって、意思決定の結果が問題とされることはない。その場合、取締役は、損害に対する責任を負わされることはなく、また、裁判所が判断の是非について事後的に介入することもない。

一人法人
(One Person Corporation)(会社法115条〜132条)

今回の会社法改正で、一人株式会社の設立が可能となった。株主は一人であるため、その人が役員であり社長でもある。会社設立から15日以内に秘書役を選任することが求められ、選任後5日以内にSECへの届出が必要となる。

普通法人への組織変更及び普通法人からの組織変更

一人法人(One Person Corporation)は、いつでも普通法人への変更が可能となり、逆に普通法人はいつでも一人法人への組織変更が可能となる。

一人法人の設立は外国人であっても可能ではあるが、その場合においても外国投資法などの外資規制及びその他の法律の規制を受けるため、事業内容によっては実質的に一人法人の設立が難しい業種もある。

当社の支援実績のある業種とビジネススキーム例

運輸・運送業、ホテル&リゾート、IT、BPO、乙仲業、機械部品製造業、日本語語学学校、英会話学校、自動車部品等卸売業、不動産業、サービス業、水産養殖業、農業、広告業、通信業、倉庫業、人材紹介業、金属鉱業、建設業、家具製造業、自働車整備業、美容業(サロン、スパ)等

運輸業・運送業
(Logistics and Trucking Business)

これからフィリピンで運輸業や運送業の市場は拡大を続けています。コロナが世界を席巻してからはフィリピンでもeコマース市場が飛躍的な拡大を続けており物流へのニーズの高まりはこれからロジスティックビジネスも大きな発展を遂げる可能性が高いビジネス分野となります。現在の物流市場はGRAB、Angkas、Lalamoveなどの民間ロジスティックサービスがあり配達需要とドライバーを繋ぐオンラインビジネスが主流となりつつあります。 また一方で商品やサービスのEC分野ではLAZADA、Shopeeなどにより安く早く確実に指定の配達先に届けることができます。 このECの拡大による輸送サービスへの旺盛な需要はまだまだ拡大の余地を秘めた分野であり、これから物流業を始めようとするあなたにとっての主力事業となる可能性があります。

運輸・運送業の種類

フィリピンの運送業にも多くの職種が存在します。どのようなビジネスを始めるかを決めておく必要があります。以下は運輸・運送関係の職種の例です。

  • 建築資材の運搬
  • ショッピングモールへの配送
  • けん引/ロードサービス
  • 引っ越し会社
  • 宅急便
  • 配達車
  • トラックや車両のリース
  • PEZA等経済特区内運送及び倉庫業

以下の運送及び倉庫業務は、PEZAへの登録が必要です。

  • PEZAに登録された輸出企業の所有者/荷受人のエコゾーンプラントに直接配送するための商品の保管、預け入れ、保管のための倉庫施設。
  • EZA外企業やローカル企業等の資材調達元または他のPEZA登録企業からの再販、梱包(マーキング、ラベリングを含む)、顧客の要求する仕様への切断または変更、または市場性のあるロットへの取り換えまたは梱包。

事業登録機関

  • 証券取引委員会(Securities and Exchange Commission : SEC)
  • 貿易産業省 (Department of Trade and Industry : DTI)
  • 税務署 (Bureau of Internal Revenue : BIR)
  • 地方自治体 (Local Government Unit : LGU)
  • 陸運局 (Land Transportation Office : LTO )
  • 陸上交通許認可規制委員会 (Land Transportation Franchising and Regulatory Board : LTFRB)
  • フィリピン経済特区庁 (Philippines Economic Zone Authority : PEZA)
  • 労働雇用省(Department of Labor and Employment : DOLE

ホテル&リゾート
(Hotel & Resort)

フィリピンは約7,641の島々からなる群島であり、白や茶色の手付かずの砂浜や多くの自然に恵まれ、世界の海洋生物多様性の中心に位置するこれらの島々には、珍しく多様な野生生物や動植物が生息し、ユネスコの世界遺産など、国の長い歴史の証である何世紀も前の教会、要塞、城壁に囲まれた都市があります。観光客は活気に満ちたフィエスタ、どこでもお買い得なノベルティとブランドのショッピング、国際的でラグジュアリーな食事、そして驚くほどのエキサイティングなアトラクションを楽しむことができます。

とりわけセブやボラカイなどは有名なリゾート地として外国人から人気があります。 
そのため世界でも有数の活力ある新興観光地の一つと見なされており、最近ではAPEC 2015、ミスユニバース2016、ASEAN2017-50周年大会が開催されました。観光宿泊施設セグメントは、市場需要を吸収するために2012年から部屋数を拡大させ、観光庁 (Department of Tourism : DOT)に報告されているリゾート地の宿泊部屋の総数は2016年末までに289,649室が記録されています。そしてコロナ下の観光客の少ない時期を利用してホテルの宿泊部屋数の拡充や設備改修や観光インフラ整備など開発プロジェクトが着々と進んでおりコロナ後もフィリピンの観光産業は大きな成長が見込まれます。外国人がホテル経営やリゾート産業に参入することは可能ですが、フィリピン特有の外資規制による資本金による参入規制や土地の取得制限条項を順守することが求められます。

資本金比率40%以上の外国法人や外国人がホテルやリゾートを設立運営する場合、一般的に外資規制により最20万ドル以上を資本金として投資する必要があります。土地は外国資本が40%以下の企業かフィリピン人のみ取得可能です。外国人や外国資本が40%以上を保有する法人は土地を保有することが出来ません。

ホテル法

ホテル法は、フィリピンでの宿泊施設の種類やランク別の登録要件を規定する最も重要な法律です。それによると宿泊施設は次のように分けられます。

  1. 一般ホテル
  2. リゾートホテル
  3. 旅館
  4. ペンションハウス
  5. モーテル

ホテル法人の設立に必要な手続き

  • 証券取引委員会(Securities and Exchange Commission : SEC)
  • 貿易産業省 (Department of Trade and Industry : DTI)
  • 税務署 (Bureau of Internal Revenue : BIR)
  • 地方自治体 (Local Government Unit : LGU)
  • 観光省 (Department of Tourist : DOT )
  • 労働雇用省(Department of Labor and Employment : DOLE
  • 観光天然資源省(Department of Environment and Natural Resources : DENR)

ECCとは

ホスピタリティビジネスを運営するには、環境適合証明書(ECC)を取得する必要があります。
あなたの事業活動が環境に悪影響を及ぼさないことを証明するためにECCが必要です。 通常、環境天然資源省(Department of Environment and Natural Resources : DENR)の環境管理局(Environmental Management Bureau : EMB)が30営業日以内に証明書を発行します。

製造業

製造業はフィリピンの主要な産業の一つであり、投資委員会(Board of Investment : BOI)によると製造業が生み出す経済価値はフィリピンのGDPの25%にも上ります。 製造業は多くのフィリピン人を雇用する可能性があるため、減税や関税がかからないなどのインセンティブやその他の投資奨励策が準備されています。
またBOI及びフィリピン経済特区庁 (Philippines Economic Zone Authority : PEZA)は製造業について2025年までに以下の目標達成を目指しています。

  • 製造業と農業及びサービス業をリンクさせ統合させる。
  • 製造革新エコシステムを開発する。
  • 国際競争力のある革新的技術水準に引き上げる。

これら目標を達成するため、政府は製造業にかかる外国直接投資を拡大させることを目指しており、とりわけ成長している製造分野は以下の通りです。

  1. 印刷機械
  2. 石油製品
  3. 飲料
  4. 機械 (電気機器を除く)
  5. 食品
  6. 電子機器

PEZAは貿易産業省(Department of DTI)の直属の政府機関です。 PEZAはフィリピンへの投資を促進しており、PEZA認定企業に財政的および非財政的インセンティブを提供しフィリピンへの投資を奨励しています。

PEZAが提供する税制優遇措置とその他インセンティブを獲得するには、企業はPEZAに登録したうえでPEZAゾーン、PEZA認定建物、ITパーク、またはテクノパークのいずれかに事業所を設置する必要があります。 PEZA登録企業は輸出志向型企業であることが絶対条件であり生産物の100%を輸出することが条件ですが、場合によっては最大30%を国内市場向けとして承認されることがあります。 PEZA企業であっても外国人による株式保有比率や事業活動の内容は外国投資規制で認められている条件や活動範囲に限定されます。