企業情報調査 (財務諸表・定款・企業登記情報)

企業情報調査とは、取引開始前や取引段階で、取引先の企業の役員・株主構成や資本金、本店所在地、事業内容、財務内容や取引先や事業期間等、問題の有無等、相手方の事業規模や信頼性を評価するためのものです。取引先の役員や株主が信頼できる企業なのかあるいは財務内容の収益性や健全性、資金力などを財務諸表で事前に調査することで御社の取引相手やビジネスーパートナーとしてふさわしい企業かどうかを事前に評価し取引相手の選択や取引の可否の判断材料として利用することができます。

企業情報調査は、初めて取引を行う会社や、業務提携や資本提携にふさわしい会社かどうかを検討する段階で行われるのが一般的です。財務能力、事業実態の有無、事業内容や存続期間、役員や株主に関する情報、従業員数、経営状況、将来性或いは会社の取引先や借入金や偶発債務、保証債務情報までを把握することで、相手先のデューデリジェンスに役立つ基本情報の提供を行います。

調査で確認できる情報

企業登記情報(GIS : General Information Sheet)

  • 名称
  • 本店所在地
  • 決算期
  • ウェブサイトのURL
  • メールアドレス
  • 電話番号
  • 納税者番号(TIN)
  • 事業内容
  • 資本金と株主構成
  • 役員・執行役員(納税者番号、住所、国籍、株式持分、役職名)
  • 系列企業
  • 業績
  • 資産・負債状況

GISは企業が毎年作成してSEC(証券取引委員会)に提出する必要があり、それは日本で言うところの履歴事項証明と同様の性質を持っているため、取得したい年度のGISを指定して取得して情報を得ることが出来ます。
数年間のGISを取得することでその会社の株主構成の変化や役員の交代、その他会社の状況の変化をお調べすることが出来ます。

 

財務諸表

  • 財務諸表(貸借対照表、損益計算書、株主持分変動計算書、キャッシュフロー計算書、注記表)
  • 独立会計監査人による監査意見報告書

財務諸表は設立時から毎年、SEC(証券取引委員会)に各企業が提出する必要があるため、任意の年度の財務諸表を取得することが出来ます。直近数年間の財務諸表を取得することでその会社の財務内容の変化を知ることが出来ます。また財務諸表の提出時には独立会計士の監査意見報告書も添付されるため、監査意見報告書により会社の財務内容の信頼性を評価することが出来ます。

会計士の監査意見には以下のようなものがあります。

  1. Unqualified Opinion (無限定適正意見) :この意見は財務諸表のすべての重要な点や表記が適正に表記されていると評価された場合に示される意見です。会計士がおおむね正確で適正な財務諸表だと評価した場合に、この監査意見が表明されます。
  2. Qualified Opinion (限定適正意見) : 企業の財務記録がすべての財務取引で公正な会計基準に準拠しているというわけではない場合、限定適正意見が与えられます。 Qualified Opinionは財務諸表の中の一部の点や表記にについて不適正な部分があると評価しながらも、その部分は財務諸表全体としての重要性は高くないと判断した時やその財務諸表を見た銀行や投資家が会社の状況について不適正な部分がありながらも全体として誤った判断をしないだろうと評価した時にこの意見が表記されます。また監査人は財務諸表の会計基準からの逸脱を含む追加の情報を提供し、監査報告書が非適格ではない理由を指摘します。
  3. Adverse Opinion (不適正意見) : この意見は監査を受けた財務記録が会計基準に準拠しておらず、著しく重要で広範囲にわたる虚偽表示が含まれていることを示しています。 虚偽表示が財務諸表等全体に重要な影響を与える場合や投資家や銀行の与信判断に誤った判断をさせる可能性の高い場合には、不適正である理由を記載して、会社の財務状況について「適正に表示していない」と監査報告書に記載する。Adverse Opinionを付与された財務諸表は詐欺的な財務内容だという評価をうける指標となる可能性があります。
  4. Disclaimer of Opinion (意見不表明) :  財務記録の欠如または経営陣の監査に対する不十分な協力により監査人が監査報告書を完成させることができない場合、監査人は財務諸表について意見不表明を記載します。 これは範囲制限と呼ばれ、何らかの理由で財務諸表に対する意見を決定できなかったことを示しています。 意見不表明は監査意見そのものではありません。

社内規則

  • Article of Incorporation and By-Law (定款・付属定款) : Article of Incorporation and By-Lawとは、会社を設立する際に必ず作成される書類で、会社を経営する上で守るべき基本的な情報や規則、設立時の株主や資本金等が記載されています。いわば会社の憲法ともいうべきもので、会社法に基づいて作成されます。
  • Certificate of Incorporation (法人設立証明書) : これは会社設立時にSEC (証券取引委員会)が会社の設立を正式に認めた際に発行されるものです。これが発行された会社は法人格をゆすることになります。またCertificate of Incorporationに添付される定款と付属定款についてもSECから認められたものとして正式な効力を持つこととなります。