輸出入許可
(Import & Export Permit)
外国からフィリピンに商品や原材料を輸入する時や外国に商品を輸出する場合、税関局(Bureau of Customs : BOC)の許可が必要となります。BOCは財務省の直属機関であり税関収入の査定と徴収、違法取引やあらゆる形態の税関詐欺の抑制、効率的かつ効果的な税関管理システムによる貿易を推進しています。
輸入品目は用途や内容物によって以下の3つに分類されます。
- 自由に輸入可能なもの (Freely Importable)
- 輸入規制品目 (Regulated/Restricted)。
- 禁止品目 (Prohibited)
輸入/輸出に関する規制
輸入規制
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- 法律による規制があるもの(Regulated)
法律による規制があるものとは、食品医薬品局(FDA)、フィリピン規格局(BPS)、植物産業局(BPI)、動物産業(BAI)など品目ごとに関連する政府機関による輸出入規制の対象となる商品です。 - 厳格な制限のあるもの(Restricted)
厳格な制限のあるもの(Restricted)とは、法律または規制によって許可された場合にのみ輸入または輸出できる商品です。 - 輸入禁止品目(Prohibited)
禁止されている輸出入は、その性質上、輸出入が違法である商品です。これらの商品は、「コントラバンド」とも呼ばれます。
- 法律による規制があるもの(Regulated)
輸入規制品目一覧
- 無水酢酸
- コメ
- シアン化物、シアン化合物
- クロロフルオロカーボンその他のオゾン層破壊物質
- 石炭およびその派生物
- 精製石油製品
- 1インチ当たり 2,400ドット以上のカラー印刷機(プリンターを除く)
- 爆発物製造用化学薬品
- 農業用の殺虫剤
- 樹木または植物の種子または苗木
- 自動車
- 自動車部品
- 自動車のタイヤ、チューブ、シートベルト
- 社会主義国(中国を除く)からの輸入品全般
- 放射性物質
- 1 万ペソを超えるフィリピン法定通貨および 1 万ドル相当を超える外貨
- リサイクル品、金属の廃品、金属を含む汚泥、プラスチック廃品および電子組立品の廃品など
- 塩
- 牛乳
- 肉類、肉製品
輸入禁止品目一覧
1.関税法第101条に規定されている品目
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- ダイナマイト、火薬、弾丸その他の爆発物、戦闘用火器および兵器ならびにその部品
- フィリピン政府に対する反逆、反乱、暴動、転覆、法に対する実力的抵抗を主張もしくは扇動する内容を有し、又はフィリピン国民に対して生命の危険や身体的危害を与える可能性のある文書や印刷物
- わいせつまたは非道徳的な内容を含む文書、ネガ、映画フィルム、写真、彫刻、リトグラフ、物体、絵画、線描画、その他の表示物
- 非合法な中絶を行うための器具、薬品、または非合法な中絶を行う場所、方法等を記した文書や印刷物
- ルーレットの回転盤、ギャンブル用品一式、不正さいころ、印の付けられたトランプ、ギャンブルで使用される機械、器具、装置など
- フィリピン政府が認めたもの以外の宝くじおよびその広告や一覧
- 全部または一部を金、銀、その他貴金属で製造されたものでその正確な純度が示されていないもの
- 食品医薬品法(Food and Drugs Act)に違反した混合物または不適切な表示をした食品および薬品
- マリファナ、阿片、ケシ、コカノキの葉、ヘロインなどの習慣性がある薬物
- 阿片吸引用のパイプおよびそのパーツ(原料は問わない)
- その他法律などに基づき管轄官庁から輸入が禁止されているもの
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2.古着やぼろ
3.おもちゃの銃
4.フィリピン知的財産法またはその他の関連法を侵害し、輸入される商品
5.中古車および同部品
6.右ハンドル車
7.有害廃棄物
8.ハード型界面活性剤を含む洗濯洗剤および工業洗剤
9.PCB(ポリ塩化ビフェニル)
10.生きたピラニア、エビ等生態系に影響を及ぼす生き物類
輸入地域による規制地域や国
輸入地域による規制が存在する地域 (中国を除く社会主義国や共産主義国)からの輸入にはフィリピン国際貿易公社(Philippine International Trading Corporation: PITC)の承認が求められます。
- ミャンマー連邦
- アルバニア共和国
- ラオス人民民主共和国
- モザンビーク共和国
- エチオピア連邦民主共和国
- モンゴル人民共和国
- 朝鮮民主主義人民共和国
- ニカラグア共和国
輸入手続き
輸入とは運搬船/航空機がフィリピンの領土に搬入する意図で荷降ろしされたことを意味します。
次の場合、輸入手続きが完了したとみなされます。
- 商品に課せられた関税やVAT等の税金およびその他の費用が入港地で納付された或いは所定の場所で払われた場合であって、支払が確認された後に引き取りの許可を与えられたもの。
- また輸入された商品に関税、税金、その他の料金が発生しないとみなされた場合、その商品は随時引き取り可能となります。
輸入申告ができる者
- 船荷証券の保有者である輸入者。
- 輸入者の権限の下で、または請求書の所有者から行動する通関業者。
- 各輸入者の代理人としての権限を正当に与えられた人。
輸入申告は船舶または航空機から最後の荷物が排出された日から15日以内に提出する必要があります。
輸入車等の都合により商品申告を提出する期間をさらに15日間延長することが出来ます。
所定の期間内に商品申告書を提出しなかった場合、税関は商品を破棄することが出来ます。
フィリピンに輸入されるすべての商品は輸入時に関税と税金の対象となります。ただし、清算会員貿易協定(CMTA)またはその他の法律に別段の定めがある場合を除きます。
輸入事業者認証のための必要書類
- 公証済申請書
- 手数料支払を証明する税関公認領収書(BCOR)
- 法人秘書役証明書または宣誓供述書
- 申請責任者と社長のID(写真付き)
- NBIクリアランス
- DTI登録証書
- GIS
- 申請者よび責任者のプロファイリング
- オフィスと倉庫の所在地と詳細情報
- 会社概要
- 事務所の住所および倉庫の合法的な占有証明
- CLIENT PROFILE REGISTRATION. SYSTEM : CPRSへの登録
- BIR登録証書(Form2303)
- 過去3年間の所得税申告書
- 有効な事業許可証
- 業務遂行に必要な資金力の証明書(銀行残高証明書または他の形式の財務証明書)
- オフィスと倉庫の住所の詳細なスケッチマップ
輸出
輸出申告
フィリピンから輸出されるすべての商品は、輸出税の対象であるかどうかにかかわらず、電子的またはその他の方法で申告を行う当事者によって正式に署名された輸出申告を通じて、管轄税関を通じて申告されるものとします。
輸出される製品は、商品の梱包やラベル付けなど、政府によって確立された輸出標準グレードに準拠している必要があります。 政府が設定した要件や規制に違反する商品については、輸出申告を行うことはできません。
輸出規制
行政命令により輸出に関する検査は廃止されていますが、例外的に輸出が規制または禁止される品目が定められているものがありそれらの品目については輸出が関税局や関連当局により規制されています。
輸出規制品目一覧
- 衣類、布地、絨毯、ポリエステル短繊維、フィラメント、織物、布・革張り家具、その他天然および合成繊維等
- 銅精鉱
- 穀物
- 植物、生鮮果実、野菜、昆虫標本、薬草、切り花など
- 人工林の材木
- 砂糖・糖蜜
- コーヒー
- 生きた動物やその生成物
- 魚介類(生魚、鮮魚、干物、加工品、冷凍品)
- 光学・磁気メディア
- 1万ペソを超える法定通貨
- 骨董品や文化的遺産
- 武器および爆発物
輸出禁止品目一覧
- アバカおよびラミーの種子および苗
- マングローブ
- ミルクフィッシュの幼魚および産卵期にあるもの
- 栽培用のサババナナ
- 金
- 天然林の丸太および材木
- ココナッツおよびココナッツの苗
- エビの卵および稚魚
- 一定の種類の貝
- 野生植物および動物:保護地区および野生生物局
関税制度
フィリピンは GATTに1979年から、WTOに1995年から加盟してきており、日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)が2008年末から発効している。多国間協定としてはASEAN 自由貿易地域(AFTA)が 2010年より発効しており、ASEAN諸国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドとの貿易協定も発効しています。
日本からフィリピンへ輸出する際は、最恵国待遇税率、日フィリピン経済連携協定(JPEPA)適用税率、日 ASEAN 経済連携協定(AJCEP)適用税率のいずれかを利用することとなっており、第三国からの輸入に際しては、一般税率、最恵国待遇、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)のいずれかの適用税率を利用することとなります。輸入品には関税のほか輸入時に12%の付加価値税(VAT)を納税する必要があります。また国内消費用に輸入される煙草、蒸留酒、ワイン、自動車、鉱物製品などについては、内国歳入法に基づき個別の物品税が課せられます。フィリピン経済区庁(PEZA)や投資委員会(BOI)等の投資誘致機関から承認を受けたプロジェクトに係る輸入については関税や付加価値税の減免措置の適用を受けることが出来ます。
通関手続
輸入手続き
必要書類一覧
- 輸入・内国歳入税申告様式(関税局様式 236)
- 船荷証券または航空運送状(Bill of Lading もしくは Air Way Bill)
- 商業インボイス
- パッキングリスト
- 原産地証明書(必要な場合)
- 関税調査官の所見の認証謄本
- 貿易産業省の事業登録証明書/証券取引委員会の登録証明書
- 対象製品のバッチ番号、シリアル番号の概要
- 委任状
- 取締役会の決議証書
- その他関税局が義務付ける追加書類
輸出手続き
必要書類一覧
- 輸出申告書
- 商業インボイス
- パッキングリスト
- 船荷証券(Bill of Lading)
- 原産地証明書
- 保険証書(必要な場合)
- 荷積後証明書(Post-Loading Certificate)(任意)